野球撮影に最適なカメラ&レンズ
※前置きが長いのでおすすめカメラを知りたいだけの人は目次から飛ぶか読み飛ばしてください※
カメラ選びで考える事
カメラの種類
まずカメラと言っても一眼レフ、ミラーレス一眼、コンデジ、スマホ等いろいろあって詳しくないと何を選んだら良いかわからないものです。しかし、撮影対象がプロ野球と決まっていればある程度絞ることが出来ます。さらにどのくらいのレベルを求めるのかで選ぶものはほとんど決まってしまいます。
どの程度の撮影をしたいかでざっくり区分してみると、、、
- とりあえず記録写真として撮れたらOK:超高倍率コンデジ(5~8万円)
- 多少画質に拘りたい:初心者向けのデジタル一眼(10万円前後)
- 画質に拘って撮りたい、RAW現像を楽しみたい:中級者~ハイアマ向けデジタル一眼(30万円前後)
- 最高のカメラを使いたい:各社フラッグシップモデルのデジタル一眼(100万円超え)
こんな感じになります。下に行くほど高性能かつ高額なカメラになります。括弧内の金額は大体の数字なので多少ブレます。
この記事では主に2番目以降のレンズ交換式の一眼レフやミラーレス一眼のデジカメを検討している人向けの話をしていこうと思います。
カメラの性能は当然高い方がいいが性能が低いと撮れない訳でもない
プロ野球撮影では連写が速い、AFが速くて正確、高感度に強いといったようにカメラの性能が高ければ高ほど有利になります。そういった性能を重視すると必然的に各社のフラグシップモデルのような高額なカメラとなります。とは言えいきなりプロが現場で使うような高いカメラを買うのは難しいと思うのではじめは初心者向けカメラあたりから始める人が多いと思います。
野球はスポーツの中でも比較的撮りやすい競技なので条件さえ揃えば性能がそんなに高くなくても綺麗な写真が撮ることも可能なのでとりあえずは初心者向けの安いカメラでも良いと思います。
初心者向けカメラEOS kiss x5で撮影した写真、条件がそろえば綺麗です |
ただ高額なカメラは性能だけでなく物としての作りが良い、カスタマイズ性が高い、操作性に優れるなど性能以外の部分でも多くの利点があるのでそこは頭に入れておいた方がよいです。
あると便利なジョイスティックは廉価機種だと省略されている事が多い |
センサーのサイズはあらゆることを左右する
カメラを選ぶときに重要な要素となるのがセンサーサイズです。センサーは心臓部とも言える部品でカメラによってサイズが異なります。このサイズの違いは様々なことに影響を与えます。
まずセンサーのサイズについて説明するとレンズ交換式カメラで採用されている物だとフルサイズ、APS-C、マイクロフォーサーズ(以下M4/3)などが代表的なセンサーサイズです。大きさはフルサイズ>APS-C>M4/3となっています。(詳しい比較はこちらから)
下の写真はM4/3センサーのカメラとフルサイズセンサーのカメラを並べて比較した物です。(カメラの真ん中の四角部分がセンサー)
左がマイクロフォーサーズセンサーのGX7mk2、右がフルサイズセンサーのZ6 |
この2機種ではセンサーサイズがかなり違うことが分かったと思いますが、野球撮影のような望遠での撮影がメインのジャンルではセンサーサイズの違いは重要な要素となります。
まずセンサーサイズが異なる場合、焦点距離に影響が出ます。例えば上の写真のGX7mk2とZ6にそれぞれ焦点距離の300mmのレンズを取り付けた場合、Z6ではそのまま撮れますがGX7mk2では倍の600mm「相当」のレンズとして使用できます。
どれくらい焦点距離が伸びるかはセンサーサイズによって異なり、フルサイズならレンズに書いてある通りの焦点距離、APS-Cセンサーなら1.5倍(Canon機は1.6倍)、M4/3センサーなら2倍といった具合です。この焦点距離はスペックシートなどに「35mm換算」として「〇〇mm相当」などと表記されています。
なぜ焦点距離が変わるかというとセンサーサイズによって写る範囲が異なる為です。下の写真はフルサイズ、APS-C(黄色点線内)、M4/3(水色点線内)それぞれで同じレンズを使って撮った場合の写る範囲を表したものです。
フルサイズは周辺部まで写りますが、APS-CとM4/3は周辺部分が写らないため被写体をクローズアップしたように見え、見かけ上は焦点距離が長いレンズで撮影したように見えるわけです。
実際はフルサイズで撮った写真の中心をクロップ(トリミング)したものと変わらないのでフルサイズで600mmのレンズを着けて撮影した写真とM4/3に300mmのレンズを着けて600mm"相当"で撮影した写真は描写が違います。(よくM4/3がボケないとか言われるのはこのため)
また画質に関してもセンサーサイズに依存する部分があり基本的にはセンサーサイズが大きい方が画質面では有利です。特にISO感度を上げた時に差が分かりやすいです。
フルサイズ機のα7RIVで撮った写真とM4/3のGX7MK2で撮った写真の画質の差を比べてみます。
GX7MK2 |
撮影位置による多少の構図の違いとか色味の違いはさておき鑑賞サイズを揃えてISO6400で撮影した写真を比べてみるとフルサイズのα7RIVで撮った写真の方がノイズが少なく精細感があるのがわかります。GX7Mk2は肌に乗っているノイズがかなり目立ちますしモヤっとしてます。ナイターやドームの試合は目で見る分には明るいですが写真を撮るには暗い状況のためISO感度上がりやすくノイズが乗りやすいのでこのようにセンサーサイズの差は明確になります。またRAWで撮って後で現像ソフトで調整しようとしたときセンサーサイズが大きいカメラの方が大胆な調整が出来る傾向にあります。
ただ鑑賞で差が出やすいのは大きくプリントした時やPCディスプレイで等倍鑑賞したときくらいなのでSNSやLineなどで写真を送って見せるだけならそこまでたいした違いは感じられないかもしれません。
またセンサーサイズの違いは焦点距離・画質以外にも重要な違いが有ります。
それは基本的には小型センサー向けのレンズほどサイズが小さくなり値段が安い傾向にあるということです。逆に大きなセンサー用のレンズはサイズが大きくなり価格も上がる傾向です。
例えばフルサイズとM4/3でレンズのサイズと価格を比較とすると・・・
SONY FE 200-600mm F5.6-6.3 OSS(フルサイズ用)
→サイズ:111.5x318mm、重さ:2115g、価格:約22万円
PanasonicLUMIX G VARIO 100-300mm/F4.0-5.6 II/POWER O.I.S.(M4/3用)
→サイズ:73.6x126mm、重さ:520g、価格:5.5万円
どちらも35mm換算で同等の焦点距離を持つズームレンズですが、これだけの差があります。重量、値段共に4倍となるとかなりの差と言えます。カメラを選ぶ際にはこれは覚えておいた方が良いでしょう。奮発してフルサイズのカメラボディ買ったはいいけどレンズの予算が無いでは元も子もありません。
そしてカメラボディのサイズはレンズと違いM4/3やAPS-C機でも上位機種になるとフルサイズ機とあまり変わらないサイズ感になってきますが値段は比較的安くなります。(当然M4/3やAPS-Cのエントリー機などフルサイズ機よりも圧倒的に小さい機種もあります)
重量&価格と画質どちらを取るかは最終的な出力先、撮影スタイルそして予算を考えて選ぶことが大切です。
画素数は多い方が良い?
画素数は今時のカメラならば2000万画素以上のものがほとんどで画素数が多い物になると6000万画素や1億画素越えのカメラもあります。画素数が多いと後からトリミングをして構図を調整できるし、トリミングの結果画像が小さくなってもある程度解像感を得ることができるのでバッファを持たせるという点では便利です。
下の写真はコーチャーが写りこんでしまった写真をトリミングして整理した写真の例です。
こういった感じで高画素であればトリミングしてもディティールが残っているので劣化はあまり感じることはなく鑑賞やプリントに耐えられます。
ただ高画素の写真はトリミングして拡大して見るとノイズが多い、解像が甘い、微妙にピンボケしてる等の粗が目立つこともあるのでトリミングするまでもなく十分な焦点距離のレンズがあれば必ずしも必要なものではありません。あと高画素機で連写するとメモリーカードがいくらあっても足りません。。。(α7RIVで連写して身に染みました)
廉価カメラで撮るときに気を付けるポイント
廉価カメラでも野球撮影は十分可能ですが気を付けるポイントがあります。
廉価機種で気になるのはシャッターボタンを押してから実際にシャッターが切られて写真が保存されるまでの時間が上位機種と比較すると少し長い点です。シャッターを押してから実際に撮れるまでのラグが大きいとバットにボールが当たる瞬間やボールをリリースする瞬間にタイミングよくシャッターボタンを押しても実際にはボールが通り過ぎたあと、リリースした後の写真ばかりになってしまいます。なのでそういったカメラを使う場合はラグがあるのを考慮して早めにシャッターボタンを押せばちょうどいいタイミングで撮ることができます。
他にもタイムラグが発生する原因として連写しすぎてメモリーカードへの書き込みが追いつかない、AFが合わない等が挙げられます。
またミラーレスの場合だと電子ファインダーの映像が実際よりも多少遅延が発生するためシャッターを切るタイミングがズレてしまうのて注意しておくと良いです。
そして廉価機種は高級機と比べ連写性能が低いものが多いですが、結局はボールとバットがミートする瞬間やボールをリリースする瞬間とタイミングが合えば撮れる物なので慣れてしまえば単写でも撮れる事が多いです。
AF性能に関しては守備や走塁だと追従性能がないと厳しいこともありますが打者や投手は基本的に定位置から動かないので思い切ってMFして置きピンで撮影という手もあります。
野球撮影で電子シャッターは使えない(例外有り)
電子シャッターは無音で撮影できるので周りの観客へ迷惑になりづらく良いのですが、一般的なカメラの電子シャッターで動くものを撮ると下の写真のようにゆがんでしまいます。
電子シャッターで投手を撮ると腕先がビヨーンと伸びている |
野球では投手が投げる瞬間、打者が打つ瞬間等を電子シャッターで撮影するとこういう感じの写真になりやすいです。
細かい原理はここでは説明しないですが、簡単に言うとカメラのイメージセンサーの性能が足りないことによるものです。一応この歪み問題を克服しているカメラもあり、SONYのα9やα1はセンサーの性能が他のカメラよりも高いため電子シャッターによる歪みがほとんど発生しません。
α1の電子シャッターで撮影、歪みが有りません |
レンズ選びで考える事
必要なレンズの焦点距離
自分の座席のどこの位置かによって選手との距離が異なるので必要な焦点距離も変わってきます。自分がよく行く楽天生命パークで投手・打者の全身を撮るならこれ位は欲しいと思った焦点距離は、
- 内野・バックネット裏 前列:200~400mm(APS-Cの場合約135~266mm、M4/3の場合100~200mm)
- 内野席、バックネット裏後列:300~600mm(APS-Cの場合約200~400mm、M4/3の場合150~300mm)
- 外野席:600mm以上(APS-Cの場合約400mm以上、M4/3の場合300mm以上)
といった感じです。
当然内野席と言ってもほぼ外野席と変わらないくらい遠い位置の席などもあったり球場によってファウルゾーンの広さが違うので一概には言えないので参考程度の数字です。 バックネット裏の最前列付近はファウルゾーンが狭い球場だと150mmくらいでも打者くらいなら大きく撮れたりします。
ちなみに外野席から打者を縦構図でいっぱいに写そうとしたら1000mm以上は必要になるかと思います。
F値は明るい方が良い
F値いわゆるレンズの明るさを表すものでF値が小さいレンズは明るいレンズと言われます。野球は高速シャッターを切ることが多い事に加え、ドームや曇天など薄暗い環境での撮影が多くあり、そういった環境下ではISO感度が上がりがちです。ISO感度が高い状態で撮影すると写真にノイズが多く乗ってモヤモヤした写真になったり、ノイズを目立たないレベルまでソフトで調整するとのっぺりした塗り絵のような写真になってしまいます。そういった時に明るいレンズでシャッタースピードを稼ぎつつISO感度を上げるのを抑えること出来れば画質的には綺麗な写真になります。ただ望遠で明るいレンズは値段がもの凄く高く、現行の600mm F4というレンズは大体3桁万円は降らない価格です。。。こういったレンズはホイホイ買える値段じゃないので自分が出せる予算のなかで出来るだけ明るいレンズを選ぶのが良いと思います。
焦点距離を伸ばしたい場合はテレコンという選択肢も
テレコンとはテレコンバージョンレンズの略でレンズに取り付ける補正レンズの事です。これをつけることでレンズの焦点距離を1.4倍や2倍にしてくれます。逆に焦点距離を縮めるワイコンというものもあります。
M4/3カメラに400mmのレンズと2倍テレコンを付けた場合、35mm換算1600mm相当(400mm x 2(M4/3) x2(テレコン))の焦点距離になります。これだけ望遠なら球場のどの席でも選手を大きく撮れます。
ただしテレコンを使用する際には下記の点に気をつける必要があります。
- レンズのF値が暗くなる
- 画質が劣化する
- AFが遅くなる(または出来ない)
- 取り付け出来るレンズが限られる
レンズのF値が暗くなるのは防ぎようがないですが画質の劣化、AF速度の低下についてはミラーレス時代に発売されたテレコンだとかなり抑えられているようです。使用可能レンズかどうかは必ず事前に確認しておきましょう。
最近のサードパーティ製レンズは安くて写りもいい
キヤノン、ニコン、ソニー、フジフイルム、ペンタックスといったように自身でカメラボディを販売しているメーカーのレンズを純正レンズ、レンズのみを販売しているタムロンやシグマ、トキナーのレンズはサードパーティレンズと呼ばれたりします。(一応シグマはボディも販売しているので純正とも言えなくはないですが)
サードパーティレンズは純正レンズに比べてかなり安いのでお財布にとてもやさしいです。また最近発売されたレンズは性能が飛躍的に上がり純正と遜色ないレベルまで来ているのでコストパフォーマンスに優れています。欠点としてAF精度が純正に比べて落ちたり、ボディの性能をフルで発揮出来ないなどが挙げられますが値段の差を考えればその辺は妥協できる範囲かと思います。
そしてRFマウントやZマウントといったキヤノンとニコンのミラーレスカメラにはタムロン・シグマなどの主要メーカーから交換レンズが販売されていないという点にも注意が必要です。一応RF・Zマウントの場合は一眼レフ用レンズならばマウントアダプター経由で使えるので現状はそちらを検討するといいと思います。非推奨ではありますがZマウントの場合はソニーEマウントレンズを使えるようになるマウントアダプターがあります。
→
【Nikon x Sony】Techart
TZE-01がどのくらいEマウントレンズに対応しているのかテスト
おすすめカメラ&レンズ
※生産終了した機材や価格改定などがあったりしたので少し内容更新しました ('22/6/30)
Canon EOS kiss X10 + Canon EF70-300mm F4-5.6 IS II USM
Canonのエントリー機種と純正レンズの組み合わせです。70-300mmというレンズはタムロンが格安で販売していたのですが生産終了してしまったため純正同士での組合せとしました。お値段は合わせて約12.5万円です。CanonのAPS-Cセンサーは他のメーカーより若干小さいため焦点距離が1.6倍され480mm相当の望遠撮影が可能。70-300mmは使い勝手の良いの焦点距離なので他にも色々楽しめるレンズです。もう少し望遠が欲しい場合はシグマかタムロンの100-400mmや150-600mmというレンズもあるのでそちらも検討するといいと思います。
Pentax K-70 + Pentax HD PENTAX-DA 55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR RE
ペンタックスのカメラが防塵防滴性能に優れているのが有名ですが、K-70もエントリー機ながらしっかり防塵防滴構造ボディなので屋外球場での撮影でも安心して使用ができます。またレンズの55-300mmPLMも防滴防塵にしっかり対応しているのでこちらも安心です。望遠端での焦点距離はフルサイズ換算450mm相当となります。
55-300mmPLMを買うときの注意点としてはPentaxには55-300mmが新旧で2種類あることです。新しい方が多少高い値段ですがPLM(パルスモーター)を使用していてかなりAFが高速化しているので新型の方がおすすめです。価格はボディと合わせて10.7万円くらい。
OMDS OM-D E-M5 Mark III + OMDS M.ZUIKO Digital ED 75-300mm F4.8-6.7 II
M4/3のボディとレンズ組み合わせなので高感度耐性はフルサイズやAPS-Cには及びませんが今回の中ではイチオシな組み合わせです。75-300mm F4.8-6.7IIはコンパクトなサイズながらも35mm換算で600mm相当の望遠撮影が可能です。またボディE-M5MKIIIもちゃんとした作りのわりに結構コンパクトなサイズなので持ち運びに便利です。この組み合わせで12.6万円です。
レンズをグレードアップする場合はオリンパスとパナソニックがM4/3用の100-400mmというレンズを出しています。ちょっと高いですがそちらも検討の価値はあります。
Sony α6400 + Sony E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS
α6400はAFが速く秒間11コマ連写と野球撮影には十分な性能を持っています。また70-350mmもコンパクトながら525mm相当の望遠撮影が可能なので野球撮影でも使えます。この組み合わせで21万円くらいです。
追記:Tamronから18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXDというレンズが発売されたのですがこれもおすすめです。高倍率の割に画質が良く、高速なAF、被写体に寄って撮影もできるのでとりあえずこれ一本あれば野球だけじゃなく大抵の物を撮影することが出来るので使い勝手が良いです。
Nikon D7500 + Nikon AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR
こちらはNikon同士の組合せで合わせで価格は26.5万円くらい。D7500はAPS-Cセンサー搭載カメラのハイアマ向けモデルでAFと連写が強力です。200-500mmと合わせれば換算750mm相当の望遠が可能なのでかなり大きく撮影が可能。
Canon EOS R7 + Canon RF 100-400mm F5.6-8 IS USM
待ちに待ったRFマウントのAPS-C機EOS R7。現状RFボディではハイエンドに位置するEOS R3のAFアルゴリズムを継承したAF性能は実際に体感した限りではかなり好印象。かなりコストパフォーマンスに優れるボディだと思います。またRF100-400mmは少し暗いもののこちらも写りは悪くなくコストパフォーマンスに優れています。
値段は合わせて25.9万円。35mm換算で160-640mm、高いAF性能、高速連写性能を兼ね揃えたカメラとしては破格かと思います。
問題点としてはなかなか手に入らないという点ですね。
Sony α9 (or 9II) +SONY FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS
α9は高いAF性能、ブラックアウトフリーのEVFに歪みの少ない電子シャッター搭載と動きもの撮るのに適したミラーレスカメラです。α9の後継機α9IIもありますが機能的には初代でも十分だと思います。
そして200-600Gですが写りはもちろんいいのですが、ワイド端からテレ端までの回転角が狭いので200mmから600mmへ移動がすぐ出来るのがかなり使い易いと感じました。価格は合わせて57万円くらいとかなり高額。ボディをα9IIにするとさらに高額に。
Canon R5 (or R6) + Canon RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
Canonがフルサイズミラーレス市場で独り勝ちだったSonyに逆襲するべく送り出したR5ですが文句なく良いカメラと言えます。α1やα9のようなブラックアウトフリーや歪みを抑え込んだ電子シャッターは無いですが大幅に強化されたAFは野球くらいの動きものを撮るには十分すぎる性能を持っています。RFマウント用の望遠レンズの一角を担う100-500mmはテレ端がF7.1と暗いですが昨今の高感度性能が上がったカメラなら多少の無茶は効くと思います。このセットの価格は約81.8万円也。
Sony α1 + FE 600mm F4 GM OSS
Sony史上初の正真正銘フラグシップモデルのα1は定価80万とびっくりする値段ですがそれだけの価値のあるカメラだと思います。レンズの600mm F4も160万円とびっくりするお値段なのでこの組み合わせだと240万円弱。車が買える。。。ただ600mmF4はバカでかいのでこのレンズを持って満員の球場にいったら周りのお客から顰蹙を買うかも。あと単焦点だとあまり変わり映えのしない写真になりがちなので工夫が必要。
番外1 最強望遠コンデジ Nikon Coolpix P1000
見た目がかなりゴツイカメラですが分類的には一応コンデジです。高倍率で一眼レフカメラのような形状のコンデジを総称してネオ一眼やブリッジカメラなどと呼んだりもします。このカメラの凄いところは24-3000mmという頭おかしいズームレンジです。3000mmだと月も大きく撮れるレベルなので外野席からバッターを狙うのも余裕で行けます。
ただ大きな外見の割に中身はしっかりコンデジなのでセンサーサイズが小さく、曇り空やナイター、ドーム球場といったISO感度が上がりやすい環境下での撮影はノイズが多くなって画質面では結構厳しいと思います。天気がピーカン照りの晴れなら結構良い画質で撮れると思います。
番外2 中古機材はおすすめか否か
人によっては中古はあり得ないという意見もありますし、全然問題ないという意見もあると思います。個人的にはレンズに関しては新品で買うより安いのは魅力的だと感じるし、マップカメラやキタムラあたりのちゃんと検品していて保証が効くカメラ店で程度の良い物を買うなら問題ないと思うのでおすすめです。(ジャンクとか難有り品とかは論外)
対してボディは見た目以外に一番気になるシャッター回数を商品状態に記載している店舗は少ないため個人的にはあまり買いたくはないです。見た目が綺麗でもシャッター回数が結構切られているということもあるので。(シャッター回数が多い中古カメラ=長距離乗った中古自動車)
またヤ○オクやメル〇リみたいな個人売買はジャンク品とか訳アリ品のような少額機材を分かった上で買うときはいいと思いますが高額な機材を買う場合は全然信用できないのでおすすめはしません。
番外3 レンタルという手もあり
カメラ機材のレンタルサービスを利用するというのも一つの手です。カメラ本体とレンズをセットでレンタルすると多少料金は掛かりますが年に1度、2度しか使わないのなら買うよりは断然安いのでお勧めです。あと使ってみたいカメラ、レンズを買う前に試すのにも使えます。
野球撮影にあると便利なもの
一脚
ずっと重たいカメラとレンズを手に持って撮影するのは疲れますが、一脚の上に置いておけば重さから開放されるのでかなり楽になります。また手ブレしにくくなるのでフレーミングもしやすくなります。(撮影時の手ブレは基本的に高速シャッターで撮るので関係なし)
似たような物として三脚がありますが、基本的に球場内は三脚使用は球場ルールでNGとなっていることが多いです。また三脚はスペースを取るので周りのお客さんに迷惑を掛けてしまうのでルールに書いていなくても使わない、持ち込まないのが良いと思います。
雨具
屋外球場で観戦している時に急な雨が降ってくることあるのでかっぱやカメラを守るカバー等あると良いです。傘は客席がガラガラであれば良いですが混んでる場合は周りの邪魔になるので止めておいた方が良いです。
日よけになるもの
日差しが厳しい夏になると黒い色が多いカメラは日光を吸収しやすいので温度が上昇がしてかなりの高熱になります。高熱になると強制シャットダウンしたり故障の原因になるので乾いた白いタオルやござのようなもの掛けたりしてあげると直射日光を避けられるので多少温度上昇を抑えられます。
結局座席位置が最重要
ここまで機材について書いてきましたがなんだかんだ言って一番効いてくるのは撮影位置です。座席によっては防護ネットの支柱や前の座席に座っている人が選手と被ってしまい残念な写真になってしまうというのは結構ありがちです。実際に自分の座席位置からどんな風に見えるのかは球場で見てみないとわからないこともあるので一か八かのような感は否めません。
球場によっては座席の見え方を掲載していたり、個人ブログなどで観戦したときの座席位置と見え方の写真を上げている人がいるので調べてみるといいと思います。
番外:撮影設定
機材の話ではないですが野球を撮影する時の設定も簡単ですが紹介しておきます。基本的には下記のような設定でいつも撮っています。
- シャッタースピード:選手をガッチリ止めたいなら1/1000秒以上(出来れば1/2000秒とか)、ボールを止めるなら1/8000秒以上必要、バットやボールに動きを付けたいなら1/250〜1/500秒くらい
- 絞り:できるだけ開放(絞っても1段くらい)
- ISO感度:オート (上限6400、場合によっては12800)
- AFモード:AF-C (キヤノンの場合サーボAF)
- AFエリア:中央一点かピンポイントAF
- リアルタイムトラッキング、追尾AF等の機能が有ればそれを使用
シャッタースピードに関しては明るいデーゲームで高速シャッターで撮影、暗いナイターは感度が上がるのを抑えるために被写体ブレ覚悟であえて低速シャッターで切ることも多いです。低速シャッターだと動きのある写真が撮れて面白いですよ。
フレーミングは一度目当ての選手に中央一点(or
ピンポイント)でフォーカスを合わせてから自分の好きな構図にしています。リアルタイムトラッキングが有れば構図を変えても最初にAFを合わせた選手を自動で追ってくれるのでフレーミングが楽になります。
まとめ
カメラ・レンズの選び方とおすすめ機材を紹介してみましたが大切なのは自分の目的やスタイルを明確にしていくことです。そうすればどの程度のカメラ・レンズ性能が必要か、サイズや重量はどの程度まで許容できるのかが分かり自ずと自分に合った機材が決まってくると思います。
ただそういったことを理解するには実際に使ってみないと分らないことも多いのでとりあえず安価な組み合わせから始めてみるかレンタルで試してみるのが個人的にはおすすめです。(豊富に予算があるなら別ですが。。。)