プロ野球撮影に1万円以下の安い中古デジカメはおすすめか検証してみる

2022/04/09

プロ野球 中古デジカメ

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1万円以下で手に入れた中古カメラで野球撮影をしてみるとどうなるか?!

プロ野球撮影はお金がかかる!

このブログで以前プロ野球撮影におすすめの機材の記事を書いたのですがそれ以降野球撮影に関連するキーワードで検索してこのブログを見る人が多くなりました。特に「野球 撮影おすすめ 安い」で検索してくる人が多くいます。

確かにまともにプロ野球を撮影をしようとすると撮影機材は大体10万円以上掛ります。金銭感覚ぶっ壊れているカメラオタク(自分で言ってて耳が痛い…)ならともかく普通の人にしたらカメラに10万円なんてなかなか出せないと思います。ましてやプロ野球を観戦に行くとしたらチケット代、交通費、飲食代と他に色々な費用もかさむわけですから安い機材でも撮影できないかと考えるのも理解できます。

そんなわけで格安機材、それも1万円以下の機材でプロ野球撮影は出来るのか挑戦した結果をまとめたので皆さんのご参考になればと思います。

格安機材入手編

今回の機材紹介

1万円以下となると当然新品なんて買えないので中古機材を狙うことになります。ネット通販サイトやヤフオク、メルカリといったフリマサイトで調べてみると1万円以下の型落ちデジカメは数多く出品されておりこの中から良さそうな物を今回は見繕ってみました。

今回選んだカメラはSONY α55とPentax X-5です。

それぞれ費用は下記の通り

SONY α55 (他ジャンクカメラ2台付き) 6,000円(ヤフオク)
互換バッテリー&充電器 2,699円(Amazon)
ミノルタ AF ZOOM 75-300mm F4.5-5.6 1,100円(ハードオフジャンク)
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計9,799円

Pentax X-5 5,795円(ヤフオク)
乾電池 TOSHIBA IMPULSE 817円(Amazon)
充電器 パナソニック BQ-CC71AM-K 1,780円(Amazon)
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計 8,392円

それぞれ1万円以下で手に入れました。価格は手に入れた当時の価格なのとヤフオクでハードオフで手に入れたものもあるので同じ価格で買えるとは限らないのであしからず。また記録メディアに関してはSDカードは誰でも持ってるだろうということでノーカンでお願いします。

それぞれ入手経緯とどんなカメラかを軽く説明すると、α55は以前オークションで通電確認のみで動作未確認品&電池なしのデジカメが数台セットで出品されていたうちの一台です。詳細な動作未確認ということもあり相場より安かったし、数台のカメラの内1台くらい動けばいいやと思いギャンブルながらも落札してみました。届いてから試した限りではセットのカメラすべてが完璧という訳ではなかったですが一応は使える物でした。特にα55は見た目は傷や液晶のコーティング剥げなどが有って美品とは言い難いですが機能的には何の問題も無く実用範囲でした。電池はAmazonで互換電池を購入しました。


α55の性能面については2010年に発売されたエントリー機ながら秒間10コマ連写可能と連写に強く野球撮影に打ってつけです。センサーは1600万画素APS-Cセンサーで今時の性能で考えると少し物足りなさはありますがここら辺はしょうがないところ。

レンズはミノルタ製の古いレンズですがマウントはSONYと共通で使用可能です。ハードオフで比較的綺麗なジャンク品を見つけ購入しました。望遠が300mmまで可能なのでAPS-Cセンサーのカメラだと換算焦点距離は450mm。野球を撮るにはもう少しあってもいいですがとりあえず今回はこれで行きます。
(α55は過去に紹介記事を書いているので詳細はそちらで)

次にペンタックスのX-5ですが、こちらはちゃんと動作確認済み品をオークションで落札しました。今回の落札額は動作品の相場と同等レベルだと思います。このカメラは2012年に発売されましたが当時は投げ売りされていたようで結構中古を見かけます。


カメラの種類としてはコンデジのカテゴリなのでレンズを追加購入すること無く使用可能なうえ、換算580mmまでの望遠撮影が出来るのが強みです。また乾電池で動くので電池が無くなってもコンビニで替えを調達できるのがメリットです。

ただ使用しているセンサーが1/2.3型の1600万画素センサーでα55どころか最近のスマホより小型のセンサーを使用しているのでどの程度写りに差が出るのかが気が掛かりです。

格安機材を狙うコツ

ヤフオクやメルカリで相場より格安で出品されている物は動作未確認であったり何かしら訳アリの商品です。基本的に動作未確認=故障品と考えた方が良く、動作未確認品がちゃんと動くかどうかはギャンブルです。今回は"たまたま"動いただけなので買うならちゃんと問題なく各機能が動作する事を確認してある商品を買った方がおすすめです。 

稀だとは思いますが「動作確認済み」は「”正常な動作しない事を”確認済み」とかいう屁理屈を捏ねる出品者もいるらしいので注意です。

また転売業者感ある出品者は避けた方が良いかと思います。理由としては商品タイトル、説明に偽りありな物が多く、美品だと思って落札してみたら傷だらけだったとか動作確認済みなのにちゃんと動作しないみたいなことが日常茶飯事だからです。自分も数度転売業者から落札したことはありますが商品説明に対して満足行くものが届いたことは一度も無いです。

出品者が転売業者かどうかは商品タイトル・説明である程度見分けられるので下記の特徴を参考にしてください。

◆転売業者の主な特徴
  • 商品タイトルに新品級とか極上美品という単語が入っている
  • 商品写真が白飛び、黒潰れでごまかしてる感がある
  • 商品説明に☆マークや顔文字がやたらと入っている
  • 商品説明がテンプレ
  • 相場より異様に安い即決価格
  • 送料が全国一律で1000円以上(当然離島などの一部地域は追加料金あり)
  • 返品はする時はオークション使用料より高い手数料+送料負担

これらの特徴に当てはまる項目が多い出品者は避けた方が賢明です。

ヤフオクやメルカリ以外だとキタムラやマップカメラといったカメラ店も中古機材を取り扱っています。キタムラやマップカメラは大手なのでちゃんと動作確認している物を販売していますし、短期間ではありますが保証もあるので中古機材を購入するうえでは安心感があります。

あとは近所のハードオフで探すことです。ハードオフの中古は全体的に高い傾向なのですが時たま相場より安い価格で売られていることがあるので狙い目です。またジャンク品など捨て値で売られていることが多いのに加え実際に試してから買うことが出来ます。

機材状態は悪くて当たり前と考える

中古品は前所有者がどんな使い方していたかは基本的にわからないので耐久に不安があります。シャッターがかなりの回数切られていたり、ボタンやダイヤルにガタが来ていて反応が悪いなどいつ完全に壊れるか分からない部分があります。大手の中古カメラを取り扱っている店舗はある程度詳細に状態を書いてくれますがフリマやオークションだと出品者による所が多いですし意図的に隠すことも多くあり買ってみないと分からないというのが実情です。

今回買った物の様に1万円以下のカメラの場合は状態が悪くて当たり前と考えるのが良いです。

バッテリーに気を付ける

中古カメラを買うとき見落としがちなのが電池です。まずヤフオクやメルカリの場合は今回入手したカメラの様に電池が付属しないことがあるので事前に付属するかどうかはチェックしておいた方が良いです。また付属する場合でも前の所有者が使い込んでいて電池が劣化して充電満タンでも電池が全然持たないということもよくあります。そもそも電池の劣化関係なく電池持ちが悪いカメラもあるのでそこらへんはネットのレビューを見て調べることも大事です。今回は金額重視ということで互換バッテリーを購入していますが安全面を考えると純正電池の方がベターです。

そして今回X-5のように専用電池ではなく乾電池で動くタイプのカメラの場合、100円ショップの乾電池や質の悪い充電池等を使用するとあっという間に電池が切れて使用不可に追い込まれるので注意が必要です。買うならパナソニックや東芝のしっかりした電池をおすすめします。 また電池持ちが良い1.5V対応リチウムイオン電池というのもあるにはあるんですが謎なメーカーの製品が多く互換電池よりも危険な感じがするのでおすすめはしません。

格安機材で撮影編

屋外球場のデーゲームを狙う

プロ野球撮影で一番問題になるのが高感度ノイズです。プロ野球は基本的に高速シャッターで撮影することが多いです。高速シャッターでの撮影はISO感度を上げざる得ないので高感度ノイズが増え画質が悪くなりがちです。そのためカメラには優れた高感度耐性が求められます。

高感度耐性を高くするには大きなセンサーを搭載しているカメラを買えばいいのですがセンサーサイズが大きいほど値段も高くなるので1万円以下では厳しいのが現実です。今回紹介しているα55は比較的大きめのAPS-CサイズですがPentax X-5は1/2.3型センサーでかなり小さいサイズなので高感度的には不利となります。 

なのでそれを補うために大切なのは太陽が出ている明るいデーゲームで撮影することです。太陽の光はとても明るいので高速シャッターで撮影しても感度が上がりにくく画質劣化が少なくなります。ただ天気は完全に運まかせで自分でどうのこうの出来る問題ではないので天に祈るしかないです。

ピント合わない時は置きピン、フォーカスロックが有効

1万以下で買えるカメラは大体が発売がだいぶ昔の物が多く今ほどオートフォーカスの精度・速度が高くないため選手が動き出してからオートフォーカスでピントを合わせようとしてもなかなかピントが合わないことが多いです。なのでデジタル一眼レフとかだったら最初にマニュアルフォーカスでピント合わせピントは固定する置きピン撮影が有効です。

またX-5のようなマニュアルでも"一応"撮影できますみたいなコンデジはマニュアルでのピント合わせがかなりやり辛いです。その場合は選手の近くの物(ロジンとか白線とか)にフォーカスをあらかじめ合わせ半押しを維持しつつここだという瞬間にシャッターボタンを押し込ん儒。この時AFモードはコンテニュアンスAFではなくシングルAFにしておくことが必要があります。

レリーズタイムラグに注意

カメラはシャッターのボタンを押してから実際にシャッターを切って画像が保存されるまでタイムラグがあります。古いエントリー向けカメラはこのラグが長いのがデメリットとしてありがちです。古いコンデジとかはタイムラグが顕著でスポーツを撮るのが困難極まる機種もあります。野球の場合、打者・投手が定位置に居てある程度タイミングを計って撮影ができるので慣れれば撮れなくはないですがコツを掴むまでは難しい思います。対策は練習を積んでタイムラグの間隔に慣れるのみです。

作例

まず今回撮ったのはプロ野球じゃなくて大学野球です(汗)スケジュールの合うプロ野球の試合が無かったので今回は大学野球の試合を撮影してみました。球場がアマチュア用なのでプロ野球で使用する球場より狭くスタンドとグラウンドが近いので撮影には若干有利ですがある程度は参考になるかと思います。

まずはX-5から


撮影位置は内野席の上段の方でしたが球場のスタンドが狭かったため実際のプロ野球で使用する球場換算だと内野の中段くらいだと思います。晴天の中での撮影なので性能が低いX-5でもパッと見綺麗に見えますね。SNSとかスマホ上で見る分にはこれでも良いと思います。ただ帰ったあと大きいPCモニタ上で見返すとかなりモヤッとしていてあまりいい画質には見えずスマホみたいな画質という印象。一昔前のエントリークラスデジカメなのであまり期待し過ぎるのは禁物といったところでしょうか。

オートフォーカスに関しては思ったよりピントが合うと感じましたが油断するとすぐ外しますし、合焦速度も速くないので守備中の選手や走ってる選手にピントがビシバシ合うよう物はないです。

これはバックスクリーンの脇からデジタルズームで撮っています。光学ズームに加えて少しだけデジタルズームを使う分には画質劣化は許容範囲かなと思います。


この写真はさらにデジタルズームをかけて撮影してみましたが個人的にはかなり厳しい画質。


X-5の弱点としては秒間1コマという貧弱な連写性能で1球でほぼ1コマしか撮れない仕様です。またシャッターボタンを押すとAFが合うまでシャッターを切れずラグができるので撮影タイミングが難しかったです。この機種はMFもやり辛いのでここは慣れるしかないです。

一応画素数を落とすことで秒間10コマ連写も可能となりますが、このモードは電子シャッターでの撮影なので野球撮影をすると下の写真の様に若干の歪みが出ます。

電子シャッターを使うとバットが歪んでしなっているように見える

次はα55で撮った作例です。



まずは内野上段から撮った写真です。流石APS-Cセンサーのカメラ。X-5と比べてもなかなかいい画質に見えます。これぐらいであれば普通にSNSに投稿だけじゃなくそこそこ大きく印刷しても大丈夫そうな気がします。 

オートフォーカスは結構精度が良いですし連写も最大秒間10コマできるので打者、投手を撮るのは簡単でした。

気になる点としてはレンズが古すぎましたね。AF時にジーコジーコとモーターが鳴って五月蠅いですし下の写真の様にフリンジがかなり出ます。(ユニフォームのストライプが紫色に見える)


一応現像ソフトを使えば簡単にフリンジの除去はできます。
左がフリンジ除去前。右が除去後

あと換算450mm相当だと外野から狙うにはちょっと短いですね。バックスクリーン横から撮るとこの写真のように小さくしか写らないのでトリミングが必須。

ここまでの作例だとやはり低感度であれば古いカメラでもある程度は見れる写真になることが分かったと思います。

では高感度だとどうでしょうかX-5とα55それぞれ高感度で撮った写真を見ていきます。

X-5 ISO1600

α55 ISO12800

X-5の方は仕様上ISO6400まで上げられるようですがマニュアルだとISO1600までしか上げられなかったのでISO1600で撮ってますがそれでも厳しい画質。α55もISO12800だと厳しい結果。ナイターの試合が主体のプロ野球撮影はどちらのカメラも厳しい気がします。
→X-5は手振れ補正の設定をデュアルにしているとISO1600までしか上げられないようです。室内撮影ですがISO6400でも撮ってみたのでその作例も載せておきます。

X-5 ISO6400

α55 ISO12800

ナイターの撮影で選手をしっかり止めようとしてシャッタースピードを上げるとISO感度は6400~12800なんてすぐ行ってしまうのでこの2台では少し厳しいですね。

おまけで現行フルサイズ一眼(α1)で撮った写真です。



X-5&α55との比較(画像を拡大して見てください)

さすが現行機、圧倒的。当たり前のことながら拡大してみると低感度でも全然画質のレベルが違います。。。

まとめ

1万円以下の機材で野球撮影できるかに挑戦してみましたが「好条件下に限り良好な撮影結果が得られる」という結果でした。この結果を元に1万円以下のカメラをおすすめ出来るかと言うと個人的にはあまりおすすめできません。

1万円以下で野球撮影に耐えうるカメラちゃんとしたカメラを手に入れるのは難しいですし、リスクも大きいです。既にいいカメラを持っている人やカメラが好きな人がお遊び程度に買うの良いですが、初めてカメラを買う人やある程度きちんとした写真を撮りたいという方はやはり5~10万円くらいは出して新品とかを買った方が満足度高いかなと思います。

最後に個人的おすすめな比較的安いプロ野球撮影カメラを挙げて終わりにします。

レンズ一体型カメラ(コンデジ・ネオ一眼)
①Panasonic LUMIX DMC-FZ300 53,620円
②Canon PowerShot SX70 HS 65,280円 

レンズ交換式カメラ
パターン①
カメラ:Canon EOS kiss X10 63,800円
レンズ:Tamron 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD 76,000円

パターン②
カメラ:オリンパス OM-D E-M10 Mark IV ボディ 71,110円 
レンズ:オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II 33,699円

(値段は'22/4/9時点での価格.comの最安値)

最近のレンズ一体型カメラは昔に比べたら高感度に多少強くなりましたが、センサーサイズの壁はどうやっても越えられないのでナイター撮影も考えているならセンサーサイズが大きいレンズ交換式カメラの方が画質は良いのでコストは掛かりますがおすすめです。ただネオ一眼の様な高倍率コンデジは使える場面が広いので、画質を妥協できるならレンズ交換式カメラより使い勝手が良いです。

自己紹介

とんがり(@Tongari_gadget)

普通の会社員をしながらスマホを中心としたガジェットやデジカメ、オールドレンズについてのブログを書いています。

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とんがりのガジェット、機材 ('22/7/9)

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