QuickTake 200とは
今回紹介するQuickTake200はMacbookやiPhoneといった数々の人気製品を生み出してきたAppleが1997年に発売したデジタルカメラです。先代にはQuickTake100、150があり200は3代目に当たります。ただこのカメラ、Appleのロゴこそついていますが中身は日本の富士フイルムのCLIP-IT DS-8というカメラのOEM製品らしいです。先代の100、150はコダック製品を製造していたチノンというメーカーが生産していました。
現在のAppleが既にデジカメ事業を続けていない事からも想像できるかと思いますがこのQuickTakeは商業的には大失敗した製品で数あるAppleの製品の歴史上でも失敗作の代表格として扱われることが多いです。当時の他メーカーのデジカメと比べて高額、その割にAFが無い、撮影枚数が少ない等見劣りする点が多かったのが鳴かず飛ばずの原因だったようです。そんなこんなしているうちにデジカメ事業だけなく会社全体が低迷していたAppleを再建するため一度はAppleを追放されたスティーブジョブス氏が復帰、その際にデジカメ事業はバッサリ切られ短い歴史に幕を下ろしました。
そんな散々なQuickTakeですがiPhoneの機能として名前だけは残っています。どういった機能かというとiPhoneのカメラアプリ内で静止画撮影中にシャッターボタンをロングタップするとそのまま動画を撮ることが出来るという機能です。もともとのQuickTakeの面影は全くないですがこの機能を使うときQuickTakeというカメラのことを偶にでいいので思い出しましょう。この機能自体あんまり使わなそうですけど。
一応主なスペックも載せておきます。
センサーは1/3型35万画素CCD、シャッタースピードは1/4~1/5000秒、絞りはF2.2とF8の切り替え式、レンズ焦点距離は換算38mm、ISOは100相当、1.8型背面液晶搭載、単三電池4本で稼働、記録メディアは5Vスマートメディア
スペックに関してはあまりにもスペック低過ぎて逆に言うことなしです。
またQuickTake100と150は内蔵メモリに記録する方式だったのがQuickTake200はスマートメディア(通称スマメ)に記録する仕様に変わったのでWindowでも利用しやすくなっています。まあ、今となってはこの5Vスマメが厄介なんですけどね。(詳細は後半で)
購入経緯
ガジェオタなのでAppleが大昔にデジカメを作っていたというのはなんとなく知っていましたがその時はカメラにたいして興味が無かったのでスルーしてきました。
その後カメラに興味が出てきて色々なカメラを買うようになった時にITmediaでQuickTakeを掘り出して使ってみたという記事の見出しを見てそういえばそういうのあったなと思いフリマで程度の良い物が出品されるのを待って購入したのが今回の経緯です。
外観・機能確認
見た目はいかにも昔のApple製品と言う感じのグレーです。OEM製品なのでAppleがデザインしたわけじゃないでしょうけど今のスマートな製品デザインと比べると無骨さがありますね。
ちなみに元になった富士フイルム CLIP-IT DS-8ではないですがCLIP-IT DS-7を手に入れたので比べてみましたがほぼ同じ形です。
QuickTakeの底面に載っている名前を見ると元の機種はDS-8じゃなくてDS-7?
違いは色とボタンやダイヤルの表記くらいです。QuickTake200の方はダイヤルに描いてある絵文字のデザインにAppleっぽさが出ています。
フォーカスはマニュアルでマクロ、ポートレート、遠景のゾーンフォーカスを適宜切り替えて撮影します。絞りは開放(F2.2)か絞る(F8)かの2択。とてもシンプル。
背面のスライドスイッチが電源になっています。SONYのマビカもこういう形の電源スイッチだったのですが昔流行ってたんですかね?
背面液晶は一応写っているというレベルでフレーム内に被写体が写っているかどうかを確認するくらいしかできないレベルです。
底面には液晶の明るさを調整するダイヤルがあります。明るさ調整ダイヤルとか懐かしすぎて涙出ます。
使用感・実写確認
まずQuickTake200を使う上で一番の気を付けて欲しいのはこの5Vスマメです。そこら辺をよく知らずに買うと自分みたいに飾って見るだけの物になります。(ITmediaの記事をよく読んでなかった)
スマメは昔の富士フイルム、オリンパス機で採用されている事が多い記録メディアで今となってはレアなメディアです。さらに普通のスマメは3.3Vの電圧で動くのですがQuickTake200に採用されている物はさらにレアな5V駆動のスマメです。このスマメは流通量は多くないため入手性がかなり悪いです。
ヤフオクやメルカリで運よく見つけ出しても単品だと2MBや4MBしか記録容量が無いくせして平気で数千円~1万円くらいの値段で売られています。QuickTake200が欲しい人はを買う時に出来れば5Vスマートメディアがセットになっている物を買うのをおすすめします。自分の場合は5Vスマメが付属しなかったのでセットになった昔の別のデジカメを何とか探し出して手に入れました。
無事カードを手に入れてもさらなる問題があります。それは5V駆動に対応したカードリーダーの入手です。ほとんどのカードリーダーは3.3Vのスマメにしか対応していません。5V駆動に対応したカードリーダーも無い事は無いのですがそれはそれで数千円位するので自分の場合は5Vスマメに対応したPCカードアダプターとPCカードをUSB接続に変換するアダプターを格安でフリマでゲットしました。まるでマトリョーシカ |
ここまでしてようやく撮影の準備が完了です。
記録メディアやカードリーダーの壁にもめげず苦労して撮影した写真がこちら
見ての通りぶっちゃけ画質がどうのこうの言える代物ではないですw
35万画素だしそりゃそうだよねとしか言えないクオリティです。特に語るべき点が見当たらない。
操作もそれっぽいフォーカスを選んでシャッターを切るだけなのでこちらも特に語るべき点もないです。
敢えて言うなら動作はゆっくりで一枚撮影して記録が終わり再生するまでは結構時間が掛かります。再生時の上から段々表示する仕様は今見ると逆にオシャレに見えなくも無い・・・気がする。
あと使用しているとグリップのあたりがほんのり熱を持ってきます。たいした処理して無さそうですが意外と中で負荷が掛かってるんでしょうか。もしくは5Vスマメのせいなのか。
最後にDS-7と取り比べしてみました。一応DS-8発売当時のニュースリリースにはDS-7から高画質化したというのを謳っているので同型のQuicktake200も画質は良くなっているはずですが・・・・
QuickTake200で撮影 |
DS-7で撮影 |
うーん色味の違いはWBがコケただけの気がしますし、この程度だと大差ないって感じですね。
まとめ
以上QuickTake200のレビューでした。カメラとしては画質どうのこうの言うものではなく今となってはAppleファンがコレクション目的に持つアイテムというのが落しどころだと思います。ヤフオクでも状態が良くて箱付きだと1万円を超える落札額になっているのでそれなりに求めている人はいるようです(自分もその一人だった訳ですが)。
あと今回の記事を書くのにDS-7のリリースノートを見つけたので見ていたのですが製品のジャンルはデジタル画像入力機器という物でした。なんじゃそれって感じです。一応商品名にはデジタルカメラという表記もあるんですが用途を見てもプレゼンやメモ等の記録用を想定しているようで当時のこのクラスのデジカメは風景を撮ったり、ポートレートを撮ったりする物ではなかったのかなーと思います。プロ向けのメガピクセル機FUJIX DS-300も同世代ではありますが値段が段違いですからね。
そんなデジカメ黎明期に散っていった当時のAppleと今のAppleを比べると感慨深い物がありますね。