コニカミノルタ最後のデジイチ
概要
αSweet Digitalは2005年にコニカミノルタが販売したカメラで、翌年コニカミノルタのカメラ事業はソニーへ売却されてしまったこともありコニカミノルタとしては最後の一眼カメラとなります。
位置づけ的にはフィルムカメラですでに販売されていたαSweetと同じようにパパママカメラといったところで上位機種であるα-7
Digitalの廉価版にあたります。廉価版ながらセンサーシフト型の手振れ補正を搭載していたり、ペンタミラー式のファインダーながら他社より見やすくするといった工夫が施してあるなど見どころはあり、事業売却という出来事がありながらも当時は一定の評価は得ていた模様。
またイメージセンサーは630万画素のCCDセンサーを採用しているためCCDセンサー愛好家にはたまらないカメラだと思われます。
購入経緯
初めはCCDセンサーカメラが欲しいということでα‐7 Digitalに目を付けていたのですが程度が良くて安価な出物が無かったこともあり、同じくCCDセンサー搭載で比較的安いαSweet Digitalを代わりに購入しました。
購入したαSweet Digitalはα55、α100と3点セットで売られていたのですがα55はバッテリーが無く動作未確認、αSweetとα100も電源起動確認のみということもありかなり格安な値付けでした。普通に買おうとしたらこのうち1台も買えないような価格ということもあり迷わず購入。結果としては3台とも一応は動いたのでラッキーでした。ジャンク漁りしているとこういったお得なことが何度かあったりしますね。
外観・動作確認
見た目はオーソドックスな一眼レフカメラでシンプルなデザインになっています。
状態としては多少の擦り傷などは有りますが目立つような大きな傷はなかったです。
ダイヤルは前側だけで後ダイヤルは無し。Mモードで絞りを変える時は露出補正ボタンを押しながらダイヤルを回すタイプ。ボタン必要最低限の物だけで初心者でも使いやすい設計です。
ACアダプタの差込口やリモートケーブルを刺すカバーが残ってはいるんですがちぎれているため何かの拍子で落として無くさないようテープで止めました。
フラッシュ付きですがかなり黄ばんでいました。
記録メディアはCFカードです。
電源を点けてみるとブルブルッとボディ内手振れ補正が動く音がして無事起動できました。購入したのは起動確認済品でしたので当然ですが一安心。
起動出来たところで気になるのがαSweet Digitalの持病です。このカメラは起動して一枚目の写真が真っ黒になる、若しくはシャッターが切れないといったシャッター周りに致命的な不具合があります。この不具合が表沙汰になった当時は無償修理を受け付けしていたそうですが構造上の欠陥の為なのか修理してもしばらくすると再発することが多く避けようが無いようです。
ではこの個体はどうでしょうか?早速一枚撮ってみました・・・
※写真撮り忘れたのでこの写真は再現です |
はい、ざんねーん。真っ暗な写真で見事に不具合品です。電源を入れて1枚目は真っ暗な写真ですが電源入れ直して撮った2枚目以降は普通に撮れるというのも同じでした。長期間使用せず放置しているとこの症状が出やすいなど言われていますが詳細不明らしいです。
この機種を使う上ではほぼ避けられない不具合なのでしょうがないと割り切るしかないですね。ちなみにこの機種の兄貴分でもあるα-7
Digitalでも同様の不具合はあるようなのでコニカミノルタのデジタル一眼が欲しい人は頭に入れておいたほうが良いです。
また使っているうちにもう一つジャンクポイントがあるのに気づきました。もう一つのジャンクポイントというのはマウントの接点不良です。
レンズと通信するためマウントにピンがあるのですがそのうち一本だけ凹んだ状態になっていて高確率で接触不良で絞りやAFが効かなくなります。(下の写真の右から4本目の端子)
一応レンズつけたり外したりガチャガチャしていると認識してそれ以降は普通に使えるようになるので全く使えないわけではないですがちょっと面倒くさいですね。
αSweet Digitalの使用感
使い勝手は見た目通りシンプルで使いやすかったです。
ファインダーの下にセンサーが付いていてファインダーをのぞくと背面液晶が消えるようになっています。ここら辺は廉価機だと省略されていることが多いので好印象。ファインダー自体は工夫しただけあって結構見やすかったです。
AFは止まっている物なら結構早くピントが決まりますが、さすがに動いている物は厳しいです。こういった昔のカメラ使うと如何に現行カメラのAFに甘やかしてもらっているか実感させられますね。
また前述したようにセンサーシフト式手振れ補正を内蔵でどのレンズでも手振れ補正使えるのですが、一眼レフ機だとファインダーで効果を実感できないので個人的にはボディ内手振れ補正はあんまり好みではないです。(ミラーレス機ならOK)
そして測光方法はマルチ、中央重点、全体平均と一通りありますがAutoで撮ると明るいところに引っ張られてとてつもなくアンダーで撮ったりして結構おバカなので気を使います。
背面液晶はホントあるだけという感じで視野角、色味、外での視認性いずれも厳しいですし固定液晶なので使い勝手もよくありません。
作例
まずαSweet Digitalは上位機のα‐7 Digitalにない仕上がり設定が増えています。ポートレート、風景、ビビッドなどの設定が増えており今時なカメラとそう大差ありません。
比較してみるとこんな感じです
撮ってからこの写真だと色が無くてわかりづらいなと思ったので別な写真も撮ってみましたがしたけどこれもわかりづらい…。
このカメラ前述した通りオート露出がおバカなので油断すると結構白飛びします。RAWで撮れば後で白飛びをカバーできるかなと思いテストしてみました。下の一枚はわざと白飛びさせた写真です。
この写真のRAWデータのハイライトを一番下げたてみましたがさすがに現代のカメラほど戻ってこないですね。
逆に黒つぶれ気味のシャドウ部がどれくらい戻ってくるかテストしたのがこちら
シャドウはハイライトに比べて結構粘る気がしますね。
その他作例はこちらです。
上の写真の真ん中をトリミングすると630万画素ながら結構解像しています。さすがCCDセンサー。
この青色の発色はかなり好み。Kodakブルーに近い気がする。
まとめ
流石に今使うと初心者向けどころか上級者向けのピーキーなカメラですが撮れる写真は全体的に発色が良くCCDセンサーの魅力が感じられるカメラかと思います。特に青色が好みの色で空を入れて撮りたくて作例撮影の途中からずっと上ばっかり見上げていました。この発色が好みならおすすめしたいカメラです。
ただこの機種は動作確認でも説明したような致命的な欠陥を抱えており完璧な個体を探すのは難しいのに加え、完璧だとしてもいずれ使用しているうちに発症して使い物にならなくなる潜在的なリスクを持っているので使えるうちに残された余命を楽しみ尽くすくらいの気持ちが大切です。