レンズ情報
発売:1970年~?
レンズ構成:4群4枚
最短撮影距離:0.6m
開放-最小絞り:F2.2-F16
絞り羽根:5枚
フィルター径:49mm
マウント:ST(M42)マウント
このFUJINON(富士フイルムのレンズブランド)レンズはオールドレンズの中でも有名な部類だと思います。有名な理由としてはバブルボケという特徴的な玉ボケが出る点が挙げられます。
バブルボケというのは輪郭がクッキリした玉ボケのことで、レンズ構成が3群3枚(トリプレット)といったシンプルな構成のレンズだと発生しやすいらしいです。このレンズは4群4枚でトリプレットの発展系のエルノスター型とかスピーディック型とか言われていますがレンズ構成については疎いのでよく分かってないです。
他の仕様としてはコストダウンのためか絞り羽根は5枚になっています。また焦点距離が55mmと標準的なレンズに多い50mmより少し長いです。最短撮影距離が0.6mと長いため少し使いづらいですがヘリコイド付きアダプターを使えば改善できます。
またマウントはSTマウントという富士フィルムの一眼フィルムカメラ用のマウントになっていますが、形状がオールドレンズではメジャーなM42マウントほぼ一緒です。違う点はレンズのマウント面に突起が有り、普通のM42のマウントアダプターに取り付けようとすると突起がマウント面にぶつかって浮いてしまいます。なのでM42のマウントアダプターに取り付けるにはレンズかアダプター側を改造する必要があります。今回はレンズ側を改造して使用しています。(改造したというより買った時既に改造されていた)
ちなみにこのレンズによく似た名前で「X-FUJINON 55mm F2.2」というものもありますがそちらはマウントがAXマウントと呼ばれるものでST(M42)とまた別なマウントなので注意が必要です。
レンズ確認
手に入れたものはオークションで購入したものですがよく見ると分解した痕がありました。前の持ち主が分解したと思われます。STマウントの突起ですが、既に削りとられていました。(オレンジで囲んだ部分)
全体的にオールドレンズ特有の重厚感、鉄の塊感はなくチープな印象です。
絞りはF2.2の隣の「・」以外は1段刻みでしか動かないため細かい調整はできません。
「・」はF2.5~2.8くらいだと思います。
強い光を当てると前玉裏側にカビが有りました。
後玉は綺麗な方でした、
α7R IVに取り付けてみたところ。
絞りは5角形です。
作例
このレンズの特徴でもあるバブルボケを出してみた写真です。他のレンズと玉ボケを比べてみると一目瞭然だと思います。
(左:ZUIKO 135mm F2.8 右:FUJINON 55mm F2.2)
田舎住みなので近所に綺麗な夜景なども無くバブルボケを活かした作例を撮るのはなかなか難しいところ。
下の写真は逆光で撮ったのでフレアが発生してます。
また開放ではかなり甘い描写なのですが絞りリングの「・」表記のところまで絞るだけでシャープネス・コントラストが劇的に改善します。ここまで変わるレンズはオールドレンズの中でもあまりないように思います。開放のバブルボケより少し絞ったこっちの方が好きです。
その他作例はこちらから
まとめ
というわけでバブルボケが特徴的なFUJINONレンズでした。最初使った時はバブルボケ以外取り柄が無い甘い描写のレンズという印象でしばらく放置していましたが、改めて使ってみるとちょっと絞るだけで普通によく写る良いレンズだと思い直しました。むしろバブルボケより少し絞った時の描写がこのレンズの持ち味のような気がします。
FUJINONレンズはオールドレンズの中でも人気があり格安で状態のいいものはあまり見ないですが、このレンズは有名なわりに安く買えることが多いので、見かけたら買ってみて損はないレンズだと思います。