Techart LM-EA7 オールドレンズでAFが使えるようになるアダプター

2019/11/24

オールドレンズ デジカメ レビュー

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オールドレンズでオートフォーカス?



LM-EA7とはどんなマウントアダプター

ライカのカメラボディに採用されているライカM(LM)マウント用のレンズをソニーのEマウントで使用できるようにするいわゆるレンズマウントアダプターなのですが、このマウントアダプターは他の製品と一線を画しており、なんとLMマウント用レンズやマウントアダプターを重ねることで各メーカーのオールドレンズでオートフォーカスが使えるようになる機能を持っています。


どうやってAFを実現しているかというとアダプターに内蔵してあるモーターでマウント面を前後させることでレンズまるごと前後に動かしてピント合わせを行うというものです。(ヘイコイド付きアダプタのヘリコイド部分が自動で動くようなイメージ)

動画で見ると分かりやすいと思います。

このようにマウントが前後に動きます

一見するとキワモノアイテムという感じですが、なかなかどうして案外使えるアイテムだったので使用して感じた良かった点、、悪かった点、注意点についてまとめてみました。

良い点

①幅広い種類のレンズで使用可能

LM-EA7自体はライカMマウントをEマウントに変換するアダプタですがさらにレンズ側マウントをライカMマウントに変換するアダプタをもう一段噛ませれば色々なレンズをAFで使用できるようになります。

左からカメラボディ、LM-EA7、ペンタックスK→LMコンバーター&レンズ


写真のようにメーカーが違うレンズでもLMマウント化すれば使用できます。

②オートフォーカス精度は想像より良いし瞳AFも使える

正直最初はなんちゃってAFかと舐めてましたが意外とちゃんとピントは合います。また瞳AFもしっかり効くのでポートレート撮影にも良いと思います。

下の写真はLM-EA7のオートフォーカスで撮った写真のピント部分を切り出した画像です。実用にも耐えうるレベルなのではないでしょうか。


③マクロ的な使い方も可能

LM-EA7を使用するときレンズ側のピントは基本的に無限遠に合わせて使用するのですが、ピントを最短側に合わせてAFを使用すると最短撮影距離が短くなりマクロ撮影的なことが可能になります。レンズ本来の最短撮影距離から3、4割くらい距離を縮めて撮影ができます。
※縮まる距離はレンズによってまちまちで元々寄れるレンズだとさほど変わりません。

レンズの本来の最短距離で撮影した場合

マクロ撮影モードで撮影した場合

④レンズの焦点距離をExifに残せる

電子接点がないレンズは焦点距離や絞りデータがExif上に普通は残らないのですが、LM-EA7ではボディ側で絞り値をF11~F32のいずれかにして1回シャッターを切ると事前に設定した焦点距離をExifに残せるようになります。焦点距離の設定値は最大10種まで対応でき、設定はスマホ専用アプリで行います。

自分は下記のように設定しています。

F値F11F13F14F16F18F20F22F24F28F32F36F40F45
焦点距離24mm28mm35mm40mm50mm57mm85mm90mm105mm135mm無限遠マクロ微調整


この表の設定の場合、焦点距離50mmでExifを残したいときはカメラボディ上(レンズ側の絞りではなく)で一度絞りをF18に設定して1回シャッターを切ると次回からExif上には50mmで記録されます。焦点距離設定後はボディ側の絞り設定をF2に戻しておく必要あるためF値はF2でしか残せません。

またα7IIIのようにボディ上に手振れ補正があるカメラの場合、焦点距離設定を変えることで焦点距離に合わせた手振れ補正設定に自動で変わるのでありがたいです。

ちなみにF36以降はそれぞれ特殊なモードが割り振られています。

無限遠モード(F36):マウントが引っ込み、遠景などAFで合いづらい物を撮るときに使う

マクロモード(F40):無限遠モードとは逆でマウントが最大まで繰り出す。レンズ側のフォーカスリングを最短側にすることで撮影距離が縮まりマクロ撮影ができる微調整モード

(F45):アダプターの繰り出し位置を固定するモード。DMFモードのようにフォーカスリングを回すと自動でピント拡大画面が表示されるといったものではないです。

悪い点

①駆動音がうるさい

最初の動画を見てわかるようにAFする時の駆動音がかなりうるさいので静かにしないといけない場所や赤ちゃんの寝顔や音に敏感な動物を撮るのは向いていないです。

②合焦速度は早いわけではないし迷うときがある

今時のAFレンズと比べてしまうと当たり前ながら合焦速度は遅いです。なので動き回る動物やスポーツなどを撮るには向いていないかと思います。物撮りや風景、ポートレートなど動きが少ない場面であれば問題はないです。

またAF迷うこともありますが純正AFレンズレベルを求めなければ及第点です。

③設定アプリが微妙

LM-EA7のアップデートや先に説明した焦点距離の設定をするのに専用スマホアプリが用意されていますが、接続も方法がわかりにくくアプリ内のレイアウトが崩れている上、一部意味の無い設定項目あったりと出来はお粗末です。一回設定したら再設定はちょっと億劫。



④アダプターのサイズが大きい

モーターが内蔵してあるためアダプターの下側が大きい形状になっています。カメラボディより出っ張るため装着状態でカメラを置くと安定性に欠けますし見た目もよくありません。
L字プレートやクイックリリースプレートを付けていると出っ張り分を稼げるのですが重くなるため自分はあまりつけることはありません。

またケースやアルカスイス互換のプレートなど付けていると物によっては出っ張りと干渉する恐れがあるので外しておいたほうが無難です。


⑤時たま挙動がおかしくなる

時たまバグって操作受け付けなくなったあと再起動するような挙動をするときがありました。それ以外にもたまにシャッターボタンを押してから実際にシャッターを切るのにタイムラグが発生することがあって、シャッターチャンスを逃すということがありました。(まるでセルフタイマーを使ってる時のような挙動)

これは瞳AFを使って連続して撮っていると起きやすい気がするのでα7IIIの素早いAFにLM-EA7がついていけていないような気がします。

使用上気を付けるべき点

①使用できるボディに制限あり、動画は不可

公式で対応が謳われているのはα7II、α7RII、α6300、α6500のみでα6000やα7などでは使えない(使い物にならない)となっています。これは像面位相差AFの制御をサードパーティーに向けアンロックしたファームを出してるかどうかの違いのようです。最近発売されたα7III、α7R IVやα6600は特に記載がないですが一応使えるものと思われます。(追記:α7R IV、α6600で使えました。またα7R IVは専用ファームがあります。)

またAFが作動するのはスチル撮影のみでムービー撮影ではAFは効きません。

②使用するレンズによって画質や挙動にクセがある

フォーカスリングを回すとレンズ全群が前後に動くタイプのレンズだと問題ないのですが、前玉が動く前群繰り出し方式のレンズやフローティング方式のフォーカス機構のレンズだと描写に影響出て画質が悪くなることがあるので注意が必要です。

また焦点距離が50mm以上のレンズやマクロレンズを使用しているとLM-EA7の繰り出し量ではピントの調整幅が足りず、レンズ本来の最短撮影距離より寄って撮ることができません。(繰り出し量が多いほど被写体に寄って撮れる)

LM-EA7の繰り出したときとレンズのフォーカスリングを使って繰り出した時の比較
レンズのみの方が繰り出し量が多い(写真下)

写真のようにLM-EA7の繰り出し量だけではレンズの繰り出し量に対して足りないことがわかると思います。なのでもっと寄ってピントを合わせたい場合はレンズのフォーカスリングを無限遠からある程度最短側に回してからAFしてやる必要があります。

LM-EA7とレンズの両方を最大まで繰り出したときとレンズのみ最大まで繰り出したときの比較


レンズ側を最大まで繰り出しつつLM-EA7も最大まで繰り出すとレンズ本来の最短撮影距離より寄れるため先に説明したようなマクロ撮影が可能となります。

③重いレンズも対応しているが注意は必要

日本販売代理店の焦点工房の仕様表ではレンズの重量は500gまでであれば本来のAF機能を発揮できるとされていますが一応それを超える重さのレンズでも使用は可能でした。(ちなみに生産元のTechartの公式だと700gとなっています)

しかし、あまり重いレンズだと耐久性には良くはないと思うのでそこらへんは自己責任です。またアダプターごと折れて大事なレンズが落下なんてことあったら目も当てられないので。。。

名玉と評判のカールツァイスのMakro-Planar 50/2はマウントアダプター込みで663gと重いですがオートフォーカスで使用できました。(フローティング機構採用しているため画質劣化しそうですが。。。)


④LMマウントに変換するアダプターを使用する時は形状に注意

LMマウント以外のオールドレンズでこのアダプターを使いたい場合、LM-EA7に対応したマウントアダプターを使用する必要があります。LM-EA7は下側の駆動用モーターが入っている部分が前方に膨らんだ形状になっているためLM-EA7に対応していないアダプターをだとアダプター同士が干渉してしまいます。

凸部分が干渉してアダプターが嵌らない


LM-EA7に対応しているアダプターはすり鉢状になっているため膨らみに干渉せず装着可能です。対応したアダプタと非対応のアダプタの形状を比較した下の写真をみれば一目瞭然だと思います。

LM-EA7に非対応のアダプター

LM-EA7に対応したアダプター

マウントアダプターを選ぶときはちゃんとLM-EA7対応を謳ったものや商品写真で逃げの形状になっていることを確認することが必要となります。使用者が多そうなK&FコンセプトのアダプターはLM-EA7に対応していないものがあったりするので買う前に形状には注意したほうが良いと思います。

まとめ

オールドレンズや他社レンズをマウントアダプター経由でカメラに取り付けて遊ぶのをマウントアダプター遊びと言いますがこのマウントアダプターはそれ自体が遊びみたいな製品です。

挙動にクセはあるものの結構まともに使えて、一眼レフ用のほとんどのMFレンズでAFが使用できるという点は最高かと思います。

ピント拡大してピーキング見ながらピントを合わせこんで撮るというのも写真撮ってる感じがして良いですが、ずっとMFは疲労が来る(主に目に)のでAFが使えることでカジュアルにオールドレンズ撮影が楽しめます。

モーター駆動音と下側が出っ張るのが気になるのでここを改善した後継機が出たら多分買うと思います。


また今のところこのアダプタはソニーEマウント用のみしか発売されていませんが、同じくTechart(日本では焦点工房が代理店)が販売している電子接点付きのZマウント→EマウントアダプタがあればニコンZシリーズのカメラでも使用ができるそうです。(追記Zマウント用Z→LMアダプターTZM-01が発売されました。またZ→E(TZE-01)経由ではLM-EA7は使えないようです。)


ライカレンズ好き、オールドレンズ好きな人はLM-EA7一度お試ししてみては如何でしょうか。


またオールドレンズのレビューもしていますのでよろしければご覧ください↓


オールドレンズレビュー記事


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とんがり(@Tongari_gadget)

普通の会社員をしながらスマホを中心としたガジェットやデジカメ、オールドレンズについてのブログを書いています。

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